六十年前の会話
(2023年3月2日)
今年も沈丁花が咲いた。例年ブログに書いている気がするが、沈丁花は、祖母が好きだった花だ。
私が産まれるずっと前に四十代で亡くなっているので、「祖母」というには抵抗があるのだが。
母が、沈丁花を見ると、「お母さんのお母さんがこのお花大好きだったんだよ」と言った。その時の、母の嬉しそうな、娘っぽい笑顔が忘れられない。
母は、祖母の話をあまりしなかった。
だからこそ、この話はとても印象に残っている。
母も祖母が大好きだったから、祖母が何気なく「このお花好き」と言った時に、とっても嬉しかったに違いない。
六十年近く前の、たったひと言だったかもしれない何気ない会話が、今でも思い出す度に私の心を温め、幸せな気持ちにしてくれる。
形あるものはいつか壊れるけれど、形ないものは、人の心の中で生き続け、次の世代に引き継がれていくのかも知れない。
「香に触れて 母懐かしき 沈丁花」
☆横浜市鶴見区
花柳もしほ日本舞踊教室☆